AI

陰影の強いAI臭いイラストの正体、フラットデザインの流行はどうなる

近年、AIによる画像生成の普及により、いわゆる「AIっぽいイラスト」という言葉を耳にする機会が増えた。

特に指摘されやすいのが、陰影が強く立体感のある表現である。

一方、Webデザインの世界では長年、陰影を抑えたフラットデザインが主流とされてきた。
この二つの流れは一見すると矛盾しているように見える。

しかし、デザインの歴史とAIの特性を踏まえると、これはむしろ自然な現象であると考えている。

本稿では、フラットデザインの流行の推移とAI生成特有の傾向を整理し、今後の制作現場で何を意識すべきかを述べたい。

この記事は、「なぜ何も指示をしないと陰影が強いイラストが生成されるのか?」AIに聞き取りをしながら作成をしている。


フラットデザインが主流になった背景

Webデザインのトレンドは、これまで何度も揺り戻しを繰り返してきた。

スキューモーフィズムの時代(〜2012年前後)

かつてのUIデザインは、現実世界の質感を模倣するスキューモーフィズムが主流だった。

  • 強いグラデーション
  • 光沢表現
  • 立体的なボタン
  • リアルな素材感

当時は「いかに本物らしく見せるか」が重視されていたのである。


フラットデザインの台頭(2013年〜)

その反動として急速に広まったのがフラットデザイン。

主な特徴は次の通りだ。

  • 陰影を極力排除
  • シンプルな配色
  • ミニマルなUI
  • 可読性・視認性の重視

スマートフォンの普及により、軽量かつ高速に表示できる設計が求められたことが、この流れを後押しした。


セミフラットへの回帰

もっとも、完全なフラットデザインは操作感や視認性の面で課題もあった。

その結果、現在はわずかに立体感を戻したセミフラット的表現が増えている。

整理すると、デザインの潮流は

リアル → フラット → やや立体回帰

という循環構造を持っている。


なぜAI生成のイラストは陰影が強くなりやすいのか

制作現場でAIを使っていると、多くの人が同じ違和感を覚えるはずだ。
特に指示を与えない場合、AIは立体感の強いビジュアルを出力しやすい。

これには明確な理由がある。


学習データが「映える画像」に偏っている

AIはインターネット上の膨大な画像を学習している。

そしてWeb上で評価されやすい画像の多くは、

  • コントラストが強い
  • ライティングが明確
  • 立体感がある
  • 情報量が多い

いわゆる「映える」ビジュアルだ。

結果として、無指定の状態ではリッチな方向に引っ張られやすい。


情報量の多い画像の方が「それらしく」見える

拡散モデル系の生成AIは、統計的にもっともらしい画像を生成する。

その際、

  • 陰影がある
  • テクスチャがある
  • グラデーションがある

といった要素は視覚的情報量を増やすため、「完成度が高い画像」と判定されやすい。

逆に、フラットな表現は情報量が少ないため、明示的な指示がなければ出力されにくい傾向がある。


初期設定が「美麗寄り」に最適化されている

多くの生成AIは、ユーザー満足度を高めるため、

  • 写実寄り
  • 高精細寄り
  • 美麗寄り

の方向にチューニングされている。

これは一般用途では合理的だが、Web素材としてのフラットイラストとは目的が異なる場合がある。


フラットデザインとAIは本来相性が悪いわけではない

結論として、フラットデザインとAIの相性が悪いわけではない。
問題は、制作者側がどこまで意図して制御できているかである。

例えば、

  • flat illustration
  • minimal
  • no shadow
  • vector style

といった指示を明確に与えれば、AIでも十分にフラット寄りの素材は生成可能である。

裏を返せば、ここを設計せずに生成すると「AI特有の陰影強め画像」になりやすいというだけの話である。


今後のデザインは再び揺り戻しが起きる

私は、デザイントレンドは今後も循環し続けると見ている。

AI生成が一般化し、美麗なビジュアルが飽和していくほど、

  • あえて情報量を削る表現
  • 人間味を残すビジュアル
  • ミニマルで静かなデザイン

の価値は相対的に上がっていくはずだ。

これは過去のデザイン史を見ても自然な流れである。


AI時代は「出力」ではなく「設計」が問われる

フラットデザインの流行とAI生成画像の陰影問題は、別々の話ではない。

本質は極めてシンプルである。

AIがどう出力するかではなく、
制作者がどの表現を意図して選ぶか。

AIは強力な生成エンジンに過ぎない。

だからこそ今後の制作現場では、
ツールに流されるのではなく、意図して表現を設計する姿勢がこれまで以上に重要になってくるだろう。

COPYRIGHT©TRUENO Co.,Ltd ALL RIGHTS RESERVED.

-AI