テレビや新聞などのオールドメディアは偏った情報ばかりで信用できない。
こんな考えを持っている人も多い。
特定のメディアが偏った報道を長年し続けているのは事実だ。
ただ、だからといってSNSの情報が全て正しいとは限らない。
それどころか、ここ数年虚偽情報も異常に増えているように感じる。
SNSのパワーがこれ以上強くなった時、どうなるのか?ここ数年の動向とともに、考察してみようと思う。
Xの収益化がもたらした、過激な投稿の嵐
2023年の8月にXの広告収益化プログラムが始まった。
自分のツイートに対するリプライ(返信)欄に表示された広告の閲覧回数(インプレッション)に応じて、X社から広告収入が分配される仕組みだ。
とにかくインプレッションを稼ごうと過激な投稿が多くなり始める。
・男性叩き、女性叩き
・有名人への誹謗中傷
・偏った見方をした政治の不平、不満
・話題のニュースや動画を複数のアカウントが繰り返し投稿
投稿の情報の真偽は関係なく、過激であればあるほどリツイートやいいねが増えていく。すると、多くの人の目に止まりやすい状態になる。
そしてまた、さらにリツイートやいいねが増えていき、間違っている情報がどんどん広まっていくのを何度も目にした。
投稿に注釈がつくコミュニティノート自体は2023年7月から開始していたが、最初の方はいまいち機能していなかったように思う。
切り取り情報・偏った情報がさらに増えていく
番組や会見の一部分を切り取って、特定の人物を貶めようとするアカウントが増えた。
どこかで見たことないか?
オールドメディアの手口とまったく同じなのだ。
リプライや引用で注釈がつくこともあるが、どんどんインプレッションは増えていく。
もちろん度を超えた誹謗中傷は対処されるが、訴訟の手間や金額、時間を考えて泣き寝入りしているケースも多いのだろう。
完全なデマを吹聴しているアカウントが増えている
AIの発達により、画像の修正や編集も簡単になった。
「この政治家は過去にこんなヤバイ発言をしていたが、今は削除している」
などと、いかにも過去の発言に問題があったような投稿が多い。
その投稿はAIで作られた虚偽の画像なのだ。完全に一線を越えている。
私は特段、高市早苗を支持しているわけではないが、多くのアカウントがかの人を貶めようとしているのを目にする。
実際に中国系400アカウント以上が衆院選に「反高市工作」を行っていたと報道されているように、今も続いているのだろう。
参考:衆院選、中国系400アカウントが「反高市工作」(日経新聞)
日本でXの影響力が強いことを認識しているため、今後も色々な団体が工作やステマを仕掛けることが予想できる。
今後のSNSはどうなっていくのか。
ここで本題だ。
膨れ上がったSNSの影響力、パワー。
これからどうなっていくのか。
ここまで見てきた通り、SNSの影響力はすでに無視できない水準に達している。
そして収益構造と拡散アルゴリズムの設計上、過激な情報や真偽不明の投稿ほど拡散されやすい土壌があるのも事実である。
この流れが今後も完全に放置されるとは、私は考えていない。
まず現実的に起こり得るのは、プラットフォーム側によるアルゴリズム調整である。すでに各SNSでは、低品質投稿のリーチ制限やコミュニティノートの強化、AI生成コンテンツの識別など、静かな是正が始まっている。
次に進む可能性が高いのが、AIによる監視と検知の高度化だ。
AIがデマを作り、AIがそれを検知するという「AI対AI」の構図は、今後さらに強まっていくだろう。そして最終的には、一定の法規制強化の流れは避けにくいと見ている。
誹謗中傷や組織的な情報操作が社会問題として顕在化している以上、各国政府が何らかの形で関与を強めていくのは自然な帰結である。
もっとも、SNSそのものが衰退するとは考えにくい。
むしろ今後は、自由度の高い空間と、信頼性を重視した空間とで、緩やかな棲み分けが進んでいく可能性が高い。
重要なのは、情報の発信者側も受信者側も、「SNSに流れているから正しい」という前提を手放すことだと考えている。
SNSは極めて強力なインフラになった。
だからこそ今後は、プラットフォームの設計、利用者のリテラシー、そして社会的なルール整備の三方向から、徐々にバランスが取られていく局面に入っていくだろう。
私自身は、SNSはこれからも社会に不可欠な存在であり続ける一方で、現在のような無秩序な拡散環境は、時間をかけて確実に修正されていくと見ている。